樫の木(カシ)は一年中葉が落ちにくい常緑樹で、目隠しや庭のシンボルツリーとして人気があります。
丈夫で育てやすい一方、成長すると枝葉が密になりやすく、気づかないうちに大きくなって「剪定が追いつかない」「隣に枝が越境してしまった」「台風のたびに折れないか心配」といった悩みに繋がることも少なくありません。
特に樫の木は、枝を短く切って高さを落とす「強剪定」を検討する方が多い庭木です。
しかし強剪定は、時期や切り方を間違えると樹勢が落ちたり、枝が暴れて見た目が崩れたりするリスクがあります。
さらに放置してしまうと、近隣トラブルや倒木、害虫被害など、庭木管理としては大きな問題に発展することもあります。
そこでこの記事では造園業者の視点から、樫の木の剪定時期(軽剪定・強剪定の違い)、強剪定のコツ、放置するリスク、費用相場と業者に頼むべき判断までわかりやすく解説します。
樫の木を安全に、きれいに管理したい方はぜひ参考にしてください。
樫の木の基本情報

樫の木とは?(常緑樹・庭木で人気の理由)
樫の木はブナ科の常緑樹で、ドングリ(実)を付ける木としても知られていますせる木。
年間を通して葉が茂るため目隠し効果が高く、庭木としても人気があります。
葉が厚くしっかりしており、見た目に重厚感が出るため、和風の庭だけでなく現代住宅にも合わせやすいのが特徴です。
また、樫の木は「丈夫」「枯れにくい」というイメージを持たれがちですが、放置すれば問題が起きないわけではありません。
枝葉が密集すると風通しが悪くなり、害虫や病気の原因になることもあります。
庭木として長く付き合うなら、定期的な剪定が重要です。
樫の木の成長スピードと特徴
樫の木は環境が合うと枝がよく伸び、葉も密に茂ります。
剪定をしないと数年で高さが出てしまい、脚立では届かないレベルになることも珍しくありません。
さらに樫は、枝が混み合うほど内側に日が入らず、下枝が枯れたりスカスカになったりしやすいです。
表面だけ整えていると「外はきれいだけど中は枯れ枝だらけ」という状態になり、台風や強風で枝が折れやすくなります。
樫の木の剪定時期はいつが最適?

基本は「軽剪定」と「強剪定」で時期が違う
樫の木の剪定は、大きく分けて2種類あります。
・軽剪定
枝先を整えたり、混み合いを軽く整理する剪定です。樹形を保ちたい場合はこちらが中心になります。
・強剪定
高さを落とす、太い枝を切る、樹形を作り直す剪定です。大きくなりすぎた樫の木で必要になることが多い剪定です。
この2つは目的もリスクも違うため、適した時期も変わります。
樫の木の軽剪定に向く時期
軽剪定は、伸びすぎた枝を整えたいときに行います。
樫の木を目隠しとして使っている場合、枝先が伸びて見た目が乱れるため、年に1回は軽剪定で整えると管理しやすいです。
ただし軽剪定でも、枝を切りすぎると葉量が減って樹勢が落ちたり、枝が暴れてしまうことがあります。
軽剪定は「整える程度」に留めるのが基本です。
樫の木の強剪定に向く時期
樫の木の強剪定は、樹木への負担を考えると「適期」に行うことが重要です。
強剪定は太枝を切ることが多く、切り口が大きくなるため、樹木が回復しやすい時期を選ぶ必要があります。
ポイントは、樫の木が「芽吹く力」を使って回復できるタイミングを狙うことです。
強剪定は、樫の木が弱りやすい真夏や厳寒期を避け、無理のない時期に計画するのが安全です。
また強剪定は一度で完璧に仕上げるより、段階的に高さを落として樹形を作る方が失敗しにくいです。
剪定を避けたいタイミング
樫の木の剪定で避けたいのは、次のタイミングです。
・真夏の強剪定
暑さで体力を消耗しやすく、切り口が乾燥しやすい
・厳寒期の強剪定
寒さで回復が遅く、枝枯れしやすい
・雨が続く時期
切り口から病気が入りやすい
・台風前の駆け込み剪定
急いで強剪定すると切りすぎになりやすい
本来は台風前に「危険枝だけを落とす」程度が安全です
樫の木は強剪定できる?できない?

樫は萌芽力があるが「何でも切っていい」わけではない
樫の木は萌芽力があるため、剪定後に芽が吹きやすい樹種です。
そのため「強剪定できる木」と言われることがあります。
ただし、ここで注意したいのは「強剪定できる=雑に切っていい」ではないことです。
樫は確かに芽が出ますが、切り方が悪いと徒長枝(勢いだけで伸びる枝)が大量に出て、樹形が崩れやすくなります。
さらに枝が密集し、風通しが悪くなって害虫の原因にもなります。
強剪定で起きやすいデメリット
樫の木を強剪定した後に起きやすいのは、次のようなトラブルです。
・徒長枝が大量に出る
上へ上へ伸びて、またすぐ大きくなる
・樹形が乱れる
枝が暴れて不自然な形になる
・太枝の切り口が傷みやすい
腐りやすく、内部が空洞化することもある
・風通しが悪化する
枝が密集して害虫・病気の原因になる
強剪定をするなら、切った後の管理(翌年の整理)までセットで考えることが大切です。
樫の木を放置するとどうなる?

1. 越境トラブルになりやすい
樫の木は枝が広がりやすく、剪定をしないと隣地へ越境することがあります。
越境枝は近隣トラブルの原因になりやすく、関係が悪化すると精神的な負担も大きくなります。
・落ち葉が隣家に入る
・雨どいに葉が詰まる
・日陰になって苦情が出る
・枝が屋根や外壁に当たる
こうした問題が起きる前に、計画的に剪定するのが理想です。
2. 日当たり・風通しが悪くなる
枝葉が密集すると庭が暗くなり、湿気がこもりやすくなります。
結果として苔が増えたり、外壁やウッドデッキが乾きにくくなったりすることもあります。
また、樫の木の内側に日が入らない状態が続くと、下枝が枯れてスカスカになり、見た目も悪くなります。
3. 台風・強風で折れる危険が増える
枝が混み合っている木は、風を受けやすくなります。
樫の木は葉が密なため、強風時の負担が大きくなりやすいです。
・太枝が折れる
・枝が飛んで車や家を傷つける
・倒木して隣家に被害が出る
このような事故は、起きてからでは遅いです。
危険枝がある場合は早めに対処しましょう。
4. 落ち葉・実・掃除が大変になる
常緑樹でも葉が落ちないわけではありません。
樫の木も季節の変わり目には葉が入れ替わり、落ち葉が増える時期があります。
・庭が落ち葉だらけになる
・掃除が追いつかない
・排水溝が詰まる
放置して木が大きくなるほど、落ち葉の量も増え、負担が大きくなります。
5. 害虫・病気リスクが上がる
樫の木は丈夫ですが、枝が混み合い風通しが悪いと害虫が発生しやすくなります。
また、カシ類は特定の害虫被害が問題になることもあり、早期発見が重要です。
・葉がベタつく
・黒いすすのような汚れが付く
・枝が急に枯れ込む
こうした症状がある場合は、剪定だけでなく原因の確認も必要になります。
樫の木の剪定方法(目的別)

樹形を整える剪定(基本の考え方)
樫の木は枝葉が密になりやすいため、剪定では「透かす」意識が重要です。
枝先を切るだけでなく、内側の不要枝を間引いて光と風を通すと、樹形が自然に整います。
・内向き枝を抜く
・交差枝を整理する
・込み合う部分を減らす
・枯れ枝を除去する
この作業を入れるだけで、樫の木は見た目も健康状態も改善しやすくなります。
高さを落とす剪定(強剪定のやり方)
樫の木の強剪定で重要なのは、主幹を途中でぶつ切りしないことです。
幹を途中で切ると不自然な形になり、切り口も大きくなって傷みやすくなります。
高さを落とすときは、次の考え方が基本です。
・分岐点で切る
・枝の流れを残して自然に見せる
・一度に落としすぎない(段階的に行う)
強剪定は一回で完成を狙うより、数年かけて理想の高さに整える方が安全です。
枝を減らしてスッキリさせる(間引き剪定)
樫の木の剪定では、枝数を減らす間引きが効果的です。
間引きを入れると風通しが改善し、害虫リスクも下がります。
・太い枝を残しすぎない
・細枝ばかり密集させない
・外側へ伸びる枝を活かす
この考え方で剪定すると、樫の木は管理しやすい樹形になります。
生垣・目隠しとしての管理(刈り込みの注意点)
樫を生垣や目隠しとして刈り込んでいる場合、表面だけ刈り続けると内部が枯れやすくなります。
年に一度は透かし剪定を入れ、内側にも光が入る状態を作ることが大切です。
樫の木の剪定でよくある失敗例

失敗1:太枝を一気に落として枯れ込んだ
強剪定で太枝を落としすぎると、樹勢が落ちて枯れ込むことがあります。
対策は「適期に」「段階的に」行うことです。
失敗2:上だけ切って下がスカスカになった
上ばかり刈り込むと、下に光が入らず枝葉が枯れてスカスカになります。
透かし剪定で内部の枝を整理し、全体に光が入るようにすると改善しやすいです。
失敗3:切り口が腐って穴が空いた
太枝の切り口が大きいと、傷みやすく腐朽が進むことがあります。
切る位置を分岐で小さくする、切り口をきれいに仕上げることが重要です。
失敗4:徒長枝だらけで見た目が崩れた
強剪定後は徒長枝が出やすく、放置すると樹形が乱れます。
翌年に徒長枝を整理することで、自然な形に戻しやすくなります。
樫の木の剪定に必要な道具と注意点

道具(自分でやる場合)
自分で剪定する場合、最低限必要なのは次の道具です。
・剪定ばさみ
・高枝切りばさみ
・剪定用ノコギリ
・脚立(安定したもの)
ただし高所作業になるほど危険が増します。
無理に届かない枝を切ろうとすると、転落事故に繋がるため注意しましょう。
安全面の注意
樫の木の剪定は、枝が硬く重いこともあり、思った以上に危険です。
・脚立作業は転落リスクが高い
・太枝は落下すると危険
・電線付近は特に危険
・チェーンソーは事故が多い
少しでも不安がある場合は、業者に依頼するのが安全です。
樫の木の剪定は自分でできる?業者に頼むべき?

自分でできる範囲
樫の木は低い位置の軽剪定なら自分で対応できることもあります。
・枝先の整理
・枯れ枝除去
・軽い間引き
ただし「高さを落とす強剪定」や「太枝の切断」は危険が大きいため、無理はしない方が良いです。
業者に依頼した方がいいケース
次の条件に当てはまる場合は、造園業者に依頼するのが安心です。
・高木になっている
・強剪定で高さを落としたい
・越境している
・太枝を切る必要がある
・台風前に安全対策したい
・害虫・枯れが疑われる
プロに依頼すると、事故リスクを避けられるだけでなく、樹形も自然に整えやすいです。
樫の木の剪定費用相場(料金の目安)

費用が決まる要素
樫の木の剪定費用は、次の要素で変わります。
・樹高
・幹の太さ
・枝の量
・作業人数
・車両の横付け可否
・枝葉処分の有無
・強剪定か軽剪定か
特に強剪定は手間と危険が増えるため、軽剪定より高くなりやすいです。
ざっくりの料金目安(見せ方)
一般的には、木が大きいほど費用が上がります。
また剪定後の枝葉処分が含まれるかどうかで、総額が変わります。
「剪定費は安いが処分費が別」
というケースもあるため、見積りは必ず内訳を確認しましょう。
見積りで確認すべきポイント
見積りで必ずチェックしたいのは以下です。
・剪定と処分が分かれているか
・追加料金の条件
・作業範囲(どこまで切るか)
・保険加入の有無
不明点を曖昧にしたまま契約すると、後からトラブルになりやすいです。
まとめ|樫の木は「強剪定の時期」と「放置しない管理」が重要
樫の木は丈夫で育てやすい反面、放置すると大きくなりすぎて剪定が難しくなります。
越境や倒木リスク、害虫リスクも高まり、庭木としての管理負担が一気に増えることもあります。
樫の木を安全に管理するためのポイントは次の通りです。
・軽剪定と強剪定で目的と時期を分ける
・強剪定は無理な時期にやらず、段階的に高さを落とす
・放置すると越境・日陰・倒木・害虫などのリスクが増える
・高さ調整はぶつ切りではなく分岐で落とす
・高木や太枝作業は業者依頼が安心
樫の木は適切に剪定すれば、目隠しとしても庭木としても長く活躍してくれます。
「もう自分では手に負えない」「強剪定が必要か判断できない」という場合は、無理をせず造園業者に相談し、安全に整えていきましょう。
