造園業とは
造園業とは、正確には「造園工事業」といい、地域全体の緑化全般を行う仕事です。
それはただ単に「庭園の手入れをする」ことや「季節に合わせた花や木々の植え替えを行う」ことだけでなく、その街に住む人々の暮らしに深く関係している仕事を指しています。
多くの方は「造園業=植木屋さん」というイメージを持つかもしれませんが、それは造園業の一部であり、その仕事内容は多岐にわたります。
造園業の3つの仕事内容
造園業の仕事内容をざっくり分けると以下の3つになります。
・官公庁を対象とした仕事
・民間企業を対象とした仕事
・個人を対象とした仕事
それぞれ解説いたします。
官公庁を対象とした仕事
官公庁を対象とした仕事では、公園の管理や街路樹の剪定などの他、地盤の整備や公園等へのベンチの設置なども行なっています。
民間企業を対象とした仕事
民間企業を対象とした仕事では、オフィスビルや商業施設などの緑化、ホテル・旅館などの庭園の施工や管理を行なっています。
個人を対象とした仕事
個人を対象とした仕事では、各個人宅の植栽工事、エクステリア工事(門扉や柱などの外構・エクステリアの設置など)を行なっています。
また、造園業者は与えられた仕事を請け負うだけでなく、さまざまな景観づくりにおける施工計画の立案などもしています。
造園業に向いている人・向いていない人
造園業に向いている人の特徴
それでは、造園業に向いている人はどんな人たちなのでしょうか?
造園業に向いている人の特徴は、大きく6つあります。
・植物に興味がある
・屋外での仕事が好き
・体力に自信がある
・デザインなどに興味がある
・コミュニケーション能力の高い人
・チームで協力して仕事をするのが得意な人
つまり、外でアクティブに動くことが得意な人やいわゆる「陽キャ」と呼ばれている人たちにおすすめです。
造園業に向いていない人の特徴
一方で造園業に向いていない人の特徴は、大きく5つあります。
・体力に自信がない人
・屋内での仕事が好きな人
・作業現場が頻繁に変わることに抵抗がある人
・ルーチンワークを求める人
・虫が苦手な人
室内作業が好きな人や、一人で黙々と作業をしたい人、おとなしい人などが「向いていない人」にあたります。
もっとも、造園業に携わることで、明るい社交的な性格に変化することも少なくありません。
最初は自信がなくても、働いているうちに「自分の天職はこれしかない」と思える人も数多くいますので、あまり苦手意識を持たずにのぞんでみるのもいいですね。
造園業の仕事はキツイ?
華やかな街の景観を作る縁の下の力持ち的な役割を担う造園業ですが、その仕事はキツイと言われることがあります。
ここでいう「キツイ」とはどのようなことなのかといいますと、大きく3つの理由があります。
・一人前になるまでに時間がかかる
・給料があまり高くない
・競合が多い
それぞれ解説していきます。
一人前になるまでに時間がかかる
第一に「座学だけでは仕事が上達しない」という点があげられます。
造園業は腕(技術)とともに知識を得る必要があるため、その修得にはある程度の時間を要します。
季節ごとに異なる技術を要し、多種多様な植物に対する知識を自身のなかにインプットしていく必要があります。
そのため「造園業を初めてすぐにキャリアアップできる」というものではないのです。
スキル修得には、5年10年という長い時間と多くの経験が必要なため、じっくりと時間をかけて学んでいく必要があります。
これが造園業の仕事がキツイと言われる理由の1つです。
給料があまり高くない
前述の技術の習得に時間がかかるという部分に重なるのですが、さまざまなスキルを身につけ一人前になるまでは、どうしても思ったほどの給与が得られないというケースも数なくありません。
こういった点からも、造園業の仕事はキツイと言われてしまうことがあります。
しかし、スキル習得までは時間がかかりますが、そのスキルを手にすれば満足感や達成感を得られるだけでなく、一生物の技術を手にすることになりますので、非常にやりがいのある仕事とも言えるでしょう。
競合が多い
造園業界は、他業種に比べても参入障壁が低いという特徴があります。
こちらはどちらかといえば経営者の目線からのキツイという意味ですが、造園業のスキルは一生物なので、そのスキルを持ってさえいれば、誰でも独立しこの業界で会社を起こすことができます。
しかし、大手企業やその土地ごとになじみの造園業者がすでにいるケースがほとんどであり、独立したとしてもなかなか思うように仕事を取れないという結果になってしまうことも珍しくありません。
こういった点も、造園業がキツイと言われる原因の1つになっています。
造園業の年収と女性の割合
造園業の年収は低い?
令和3年の厚生労働省による職業情報提供サイト(日本版O-NET)では、造園工の平均年収は344.1万円となっています。
国税庁が毎年調べている「民間給与実態統計調査」によりますと、令和3年の平均年収は男女合計で443万円となっているため、やはり給与の面では物足りないと感じる人もいらっしゃいます。
それでも、この仕事をやり続ける理由は、やはりこの仕事に対する誇りと自身のスキルに対しての揺るぎない自信からなのではないでしょうか。
いわゆる「ヤンキー」や「元ヤンキー」と呼ばれる方が造園業に多いというのも、こういったプライドを持って働けるところに理由があるのかもしれませんね。
造園業における女性の割合
2020年度の国土交通省が行なった建設工事施工統計調査によると、造園業の人口は54,954人ですが、そのなかで女性の割合といえばわずか全体の約10%前後と言われています。
近年、女性の数が増えてきたといっても、まだまだ男性が多い業界であるのが現状です。
造園業に将来性はある?
近年、街の緑化などが強く叫ばれているため、今後の造園業への需要は高まってくることが予想されます。
道路や公園では必ず木を植えるため、仕事自体がなくなるということもないでしょう。
また、高齢化社会が進むことで民家の庭木の剪定などの仕事も増えることが予想されますので、今後よりいっそう造園業への需要が高まるだろうと考えられています。
したがって、造園業の将来性はあると考えて良いのではないでしょう。
造園業は原則として年齢制限もないため、スキルを習得すれば身体が動くかぎり一生やり続けることができる仕事です。
まとめ
以上が造園業の基礎的な知識になります。
これから造園業に就きたいと思っている方は、早い段階でその道に進むと良いでしょう。
始める時期が早ければそのぶん、早い段階にスキルを習得し、より良い待遇で長い年月働くことができますよ。